書評:「脳を鍛えるには運動しかない!」運動が脳に与える影響を科学的に証明している貴重な1冊
著者紹介
著者はジョン.J.レイティ(John.J.Ratey)
医学博士でハーバード大学医学部臨床精神医学准教授。アメリカの精神医学会で活躍する医師でもある。
臨床研究者として精神医学と精神薬理学分野のピアレビュー専門誌に60以上の論文を発表。神経科学が感情や行動、そして心理学全般に与える影響について論じた。
本の概要
運動が脳神経系に影響して精神の安定や学習効果の向上、さらには深刻な精神的ストレスを解消する手段になることを「脳神経科学」の観点から述べられてます。
目次は以下
第1章 革命へようこそ
第2章 学習
第3章 ストレス
第4章 不安
第5章 うつ
第6章 注意欠陥障害
第7章 依存症
第8章 ホルモンの変化
第9章 加齢
第10章 鍛錬
元来人間は体を動かすようにできていて、そうすることで脳も動かしている。学習と記憶の能力は、祖先たちが食糧を見つけるときに頼った運動機能とともに進化したので、脳にしてみれば、体が動かないのであれば、学習する必要は全くないのだ。
人間は運動をすることが前提の生き物。日常に運動があってこそ脳が正常に機能し、ストレスを処理したり、学習によって成長できる。
簡単に言うと、運動すればストレスを解消して頭も良くなってしまうわけだ。
逆に運動不足はそれ自体がストレスになり、健全な精神性を維持できずに様々な精神的問題(ストレス、うつ、依存症など)を生じ、学習効果も十分には得られない。
運動を生活に取り入れることの恩恵は計り知れない。現代のストレス社会に適応し、精神的な健全性を維持していくためには、運動習慣を獲得することがほぼ必須といえるでしょう。
本の感想
「脳神経科学」なんて謎めいた分野であるにも関わらず、根拠となる研究や事例を用いてわかりやすく、説得力に富んだものになってます。
運動関連の本で脳機能や精神面への影響を中心とした内容で、ここまで詳細にまとめ上げられたものは他にないんじゃないでしょうか。
自分自身を思い返すと当てはまることが実に多いです。ハルイチは以前、抑うつ的でストレスだらけで他人に当たり散らす自己中心的で最悪の人間でした。アルコールにハマっていた時期もあります。
それが運動(マラソン、筋トレなど)するようになってから、いつの間にか内面的な問題のほとんどが解決してたんです。アルコールとも距離を置き、精神面は安定して他者を思いやる余裕ができました。
そう考えると運動が与える影響は身体面よりも精神面の方が大きいのかもしれませんね。
運動に関する内面的な変化を科学的に解説している良書。本を読んだら無性に運動したくなること請け合いです。